交通事故 損害論4 損害額の基準
損害額の基準には,自賠責保険基準,任意保険基準,裁判所基準という3つの基準があります。
自賠責保険基準とは,自動車損害賠償保障法に法律で定められた基準であり,迅速な支払が期待できますが,金額には上限があり,被害者の救済に不足することが多いです。
任意保険基準は,示談交渉のため保険会社が独自に定めている基準であり,自賠責保険基準よりは高いものの,次に述べる裁判所基準よりも低いことが多いです。
裁判所基準とは,訴訟になった場合に裁判所の判断のもとになる基準であり,3つの基準の中では最も高額な基準となります。この基準自体は公表されてはいませんが,日弁連交通事故相談センターの発行する損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)がこの基準を踏襲しているといわれています。
単純に考えれば,裁判所基準を用いるのが最も被害者の方の利益になるようにも思われますが,訴訟となると時間もお金もかかり,また事情によっては必ずしも基準通りともいきませんので,保険会社との任意交渉によって示談をした方が被害者の方の利益になる場合もあるということにご留意ください。