損害論2 死亡事故に関する損害
被害者の方が死亡してしまった場合に問題となる損害としては,①葬儀関係費,②死亡慰謝料,③死亡による逸失利益の3つが挙げられます。
①葬儀関係費
葬儀やその後の法要・供養等を行うための費用,仏壇・仏具等の購入費,墓碑建立費等のことをいいます。自賠責保険基準では原則60万円で上限100万円,裁判所基準では150万円が上限となっています。もっとも,被害者の方の社会的地位など個別的な事情によっては150万円以上の賠償が認められる可能性もあります。
②死亡慰謝料
被害者の方が死亡した場合に,被害者の方自身が感じたであろう精神的苦痛に対する慰謝料と,被害者の方の父母,配偶者,子などの遺族の方が受ける精神的苦痛に対する慰謝料との2つが挙げられます。
死亡慰謝料の額は,入通院慰謝料,後遺障害による慰謝料と同様に,自賠責保険基準,任意保険基準,裁判所基準の3つの基準に基づいて計算されます。もっとも,個別的な事情によっては基準以上の慰謝料が認められることもあり得ます。
③死亡による逸失利益
被害者の方が死亡しなければ将来にわたって得られていたはずの収入のことをいいます。被害者の方のもともとの収入から,被害者の方が死亡した関係で掛からなくなった生活費を控除したあと,就労可能年数に対応した中間利息控除係数を掛け合わせて算出するのが通常です。